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WUJA BIN BINケイタイモ



――普通、ある程度の線が見えるんですけど、ケイタイモさんの場合はこれまでやられてるバンドを辿っていくと謎があると言いますか。
ケイタイモ :  たしかにそうかも(笑)。
――オルタナティブを掘り下げたMONG HANGからポップ・ミュージックなBEAT CRUSADERS、そして現在のWUJA BIN BIN。まず、多感な時期に刺さった音楽は何だったんですか?
ケイタイモ :  いちばん最初は親が聴いてたBEATLESな気がするんだけど、バンドとしてはユニコーンがデカかったりもして。オレが高校生ぐらいのころって、クラスの女子が「奥田民生と結婚する!」って言ってる時期だったから……あっ、ちょっと待った。最初は『ベストヒットUSA』(※小林克也がVJを努め、アメリカのヒットチャートを紹介する番組)だ! 中学生のときだったかな。
――今でも続いてますけど、大きな影響力を持った番組ですよね。
ケイタイモ :  で、親戚の兄ちゃんにもいろいろ教えてもらったりして、プリンスにハマったんだよね。そのころって、カルチャークラブ、マイケル・ジャクソン、マドンナ、シンディ・ローパー、デュラン・デュランとかいたんだけど、もともと天邪鬼なところがあるから「やっぱ、プリンスでしょ!」みたいなことを言ってたんだよね、オレ(笑)。
――マイケル・ジャクソンやシンディ・ローパーならポップ・ミュージックですし、中学生ぐらいでも好きになりそうですけど、プリンスとはまた濃いところへいきましたね。
ケイタイモ :  でも、そのときはバンドもまだやってないし、海の向こうにあるエンターテインメントとして聴いてたかな。田舎の鼻タレた中学生が背伸びして聴いてるみたいなさ。
――その後、高校生になってユニコーンを好きなると。しかしながら、洋楽絶対主義にはならなかったんですね。
ケイタイモ :  当たぶん、バンドを始めるモチベーションってモテる為というか、異性を意識するじゃない。プリンスを好きになったのも、可愛い洋楽好きな女の子がいて、その子と話したいのもあったし(笑)。
――ありますよね、そういうの(笑)。
ケイタイモ :  音楽を好きになること自体に嘘はないんだろうけど、キッカケはあくまで女の子だったりして。だから、ユニコーンを好きになったのも、女の子と接点を持つ為に「奥田民生になろうじゃないか!」と。凄いよね、奥田民生になれると思ってたからね(笑)。
――そのタイミングで楽器も持ち始めたんですか?
ケイタイモ :  そうそう。で、その時期はギターヒーローもたくさんいたのもあって、最初はギター。あと、奥田民生になろうとしてたから(笑)。
――ハハハハ(笑)。どのへんにコピーをしました?
ケイタイモ :  オレ、高校が家から離れてたから下宿してたんだけど、隣の部屋に途中から友達が越してきて。ソイツがメタル野郎だったんだけど、あるとき隣から聴こえてきたのが凄くて、次の朝に聞いたらキング・クリムゾンの1stアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』だと。で、そこからプログレにハマってさ、必死になって耳コピしてたな~。
――その後、大学へ進学するんですよね。
ケイタイモ :  いや、その前に1年間、巷では牢獄予備校って言われてた両国予備校に通ってね。でも、そこで同じ予備校のヤツにフランク・ザッパを紹介されて、もう「なんじゃこコリャ!」ってぐらいの衝撃。大学に入ったらバイトして、アルバム全部買おうと思ったぐらい。
――そうだったんですね。で、大学へ進みMONG HANGを結成したそうですが、前身バンドがあるという話も聞きました。
ケイタイモ :  大学で一緒になったBAさん(WUJA BIN BIN/ex.MONG HANG)と高校の同級生のカノウっていうギターがいて、ドラムが見つからないからリズムマシーンでやってるときがあって。まあ、それが前身と言えば前身にはなるのかな。
――サウンドとしてもMONG HANGのような?
ケイタイモ :  若干ね。で、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとかも出てきた時期だったから、タフぶって上半身裸でやってたよ(笑)。
――そのときからベースに転向したんですね。
ケイタイモ :  最初はオレがギターでベースを入れようと思ってて、大学の同級生にめっちゃ上手いヤツがいたんだけど、なにしろみんなから総スカンをくらってるヤツで(笑)。だから、BAさんと話をしてたら「たぶん、ケイタがベースを弾いてギターを探した方が早いよ」と。で、そのときにスタインバーガーも買ったんだよね。
――ベースを始めるタイミングでいきなりスタインバーガーを買ったんですか!?
ケイタイモ :  そうそう(笑)。まず楽器屋に在庫があるか電話したんだけど、こっちも素人丸出しだったから、店員の口調が「お前みたいなのに売る楽器じゃねえよ」みたいな感じでさ。そのときはオレも「すいません!」ってなったけど、電話を切ったとき「悔しいな。絶対に買ってやる!」と。
WUJA BIN BINケイタイモ
――そして、MONG HANGも正式にスタートしますよね。
ケイタイモ :  サークルにいたヤツをドラムで入れて、4人である程度やっていくっていう。ラッキーだったのが、友達から「イベントやるから出てくれ」って言われて、下北沢251でデビュー戦をやったんだけど、対バンがスケボーキングとGOD'S GUTS。スケボーキングもデビュー前で、そっからの仲なんだよね。
――そこから活動はどんどん広がっていき、リリースもするようになりました。意識としてはどうでした?
ケイタイモ :  何も知らないでやってたから、ライヴのブッキングとか面白いイベントに出れるのとか、全部レーベルがやってくれると思ってたんだよね。でも、「そういうのは違うんだよ」って教えてもらって、結局は自分でやらないといけないっていう。完全に学生からきた甘ちゃんの考えが変わっていったし。最初、4人でやり始めたころって、交友関係だけでいろんなところに出れたから、ちょっと勘違いしてたんだよね。
――MONG HANGとしては海外ツアーも経験し、ミュージシャンとしてキャリアを重ねた後、BEAT CRSADERSに参加しましたよね。しかも、ベースではなくキーボードという。
ケイタイモ :  ダカさん(※ヒダカトオル:THE STARBEMS/ex.BEAT CRUSADERS)とは、友達を介してちょっと前に知り合ってて。それから、ディズニーのトリビュートにダカさんが参加することになったとき、ベースとして呼んでもらったんだけど、そのときにスタジオでちょっとシンセを弾いたのがキッカケにはなるのかな。
――もともと鍵盤もやってたんですか?
ケイタイモ :  やってたっていうほどのことでもないけど、家にピアノがあったから触ったりはしてて、適当に音を出したりはできるっていう。で、ダカさんがケイタイモはキーボードが弾けると勘違い(笑)。
――ハハハハ(笑)。ただ、その当時はMONG HANGもかなり活動的だったころですよね。
ケイタイモ :  ちょうどそのころ、2回目のアメリカツアーも行き、かなり手応えがあって。アメリカって口コミ文化が凄いから、田舎へ行けば行くほど「またヤツらが来た!」って盛り上がったりとか。ただ、その反面、メンバー間で疲弊しちゃったりもして。
――やっぱり、ツアーは体も心もすり減らしますからね。しかも、海外だと余計にそうだと思います。
ケイタイモ :  ホントにそう。で、「辞めたい」っていうメンバーもいて、どうしようかなと悩んでるときにダカさんから「一緒にBEAT CRUSADERSをやらない?」って言われて。まあ、驚いたよね。
――しかも、ベースではなくキーボードという。
ケイタイモ :  そのとき、「ベースはクボタでさ」って言われて「えっ、オレは何?」って思ったし(笑)。「オレ、あんまり弾けないけど大丈夫?」って伝えたら「そっちの方が面白いじゃん!」と。オレもテンションがガクッと落ちてるときだったし、他のメンバーも知ってるヤツらだったから「やる!」と決めて。
――単純にMONG HANGからBEAT CRUSADERSとなると音楽的振り幅もかなり広かったと思いますが、違和感みたいなモノはありませんでした?
ケイタイモ :  『ベストヒットUSA』で育った80'sの遺伝子もオレはあったし、BEAT CRUSADERSの音楽はすげえと思ってたから、そこは平気だったかな。
――しかしながら、活動をしていく上で観た景色は全然違いましたよね。
ケイタイモ :  最初のライヴが横浜CLUB24だったんだけど、もちろんお客さんがすげえ入ってて……ちょっとへんな感じというか、ギャップみたいなのはあった。メジャーからリリースしたタイミングぐらいから、やっとBEAT CRUSADERSのファンにもケイタイモっていうのが認知され始めて、自信っていうわけじゃないんだけど。
――そこに自分がいる意味を感じ取ったと言いますか。ただ、僕からするとケイタイモさんはライヴの空気感を作ってた印象が凄く強くて。他のバンドにはない、いい違和感がありましたから。
ケイタイモ :  だったら嬉しいな……って、すげえ久しぶりにBEAT CRUSADERSの話をしてるな(笑)。今になって考えると、辛いこともあったけど無駄なことはなかったなと思ってて。BEAT CRUSADERSがなかったら、WUJA BIN BINもそこまで認知されてないと思うし。交友関係もそこで広がったところもあるから。
――それまでのバンド活動とは違う意識は芽生えました?
ケイタイモ :  ダカさんからも言われてたんだけど、ミュージシャン的なエゴってあるじゃない。演奏でこういう風に自分を出すみたいな。そういうのって、マスになればなるほど響かないって言ったら夢がないのかもしれないけど……
――そのバランスですよね。大勢の人へ届けるという前提があると、こだわりはもちろんありつつも、大きい入り口が必要だろうし。
ケイタイモ :  まさにそう! そういう意味では、MONG HANGがあって、バランスをとってるみたいなところがあったような気がするし。
――すべてのバンドマンの悩みだと思います。ただ、そうやって真剣に悩めたことはいい経験になりますよね。
ケイタイモ :  ホントにそこは「音楽で飯を食ってくっていうのはこういうことなんだな」って思ったし。最後までいろんな葛藤はあったけどね。だから、MONG HANGがさ、ドラムが亡くなって止めざるをえなくなったときから、自分のバランスが崩れたのかな。振り返ってみれば、そういうことだと思う。
――現在はWUJA BIN BINを中心に活動をされていますが、また違う音楽性のところへ進んだと感じました。
ケイタイモ :  そこに対する反発じゃないけど、今後を考えたとき、ちゃんと音楽をやらないとバランスもとれないし。BEATCRUSADERSでケイタイモっていう名前はたくさんの人に知ってもらえたけど、音楽をやってるっていうよりも、それこそ踊ってる人みたいなイメージが強い気がしてて。例えばさ、ピエール瀧さんみたいなポテンシャルがあれば別だろうけどね(笑)。
――今のスタイルは温めていたアイデアなのか、それとも新しいことをやろうと考えたときに刺さった音楽なのかというと?
ケイタイモ :  それはどっちもかな。MONG HANGでやれなかったことを曲にしてる部分もあるから。
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――感覚的な表現で申し訳ないんですけど、イメージとしてはMONG HANGとBEAT CRUSADERSの中間にあるような立ち位置な気がしてまして。
ケイタイモ :  でも、厳密に言うとそうかもしれない。
――深い音楽性はありつつも、聴き手を選ばないポピュラリティーもある。主張の押し付けがない、自由に聴けるサウンドじゃないですか。
ケイタイモ :   そう言ってもらえると嬉しいな。それにね、メッセージ性はまったくないから。
――一般的には、長くやればやるほど、言いたいことは増えるのかなと。
ケイタイモ : :  もちろん、言いたいことはあるんだけど、それは別じゃないかと考えてて。例えば、自分の考えをバーンっと出すとしたら、他人を傷つけることもあるじゃない。そうなったとき、音楽自体に罪はないわけだし、音楽じゃそういうモノじゃないというか。
――WUJA BIN BINのスタンスとしては、意味をバンド側からではなく、聴き手に持ってもらうみたいな。
ケイタイモ :  うん、そうだね。そのへんのバランスに関しては、ウチのメンバーはみんなそういう感じだと思う。ジャズ畑の人間も多いし、音の説得力を求めるみたいな。まあ、メンバーもよう集まってくれたと思うよ。
――WUJA BIN BINは総勢13人が所属する大所帯。たいへんなことも多いと思います。
ケイタイモ :  単純に物量が多い分、苦労のあるけど、その先には13人が集まって出す音があって。普通にやってたら出せないモノがあるし。それにさ、曲を作って渡すんだけど、忠実に作られたモノだけをやる人間がいなくて。みんながみんな、自分の色を出してくれるから出来上がりが凄く面白いんだよね。
――これからについてですが、何か描いているビジョンはありますか?
ケイタイモ :  それこそ、最近になって始めた弾き語りもどんどんやっていきたいなと考えたりとか。ちょっとね、上手い具合にいい形にしたいなと。
――意欲が衰えないんですよね。長く活動を続けていくと、追求するスタンスは固まるのかなと考えてました。
ケイタイモ :  それこそ、BEAT CRUSADERSのときに歳が結構離れたバンドともやる機会が多かったんだけど、そこで学ぶこともたくさんあって。歳が上っていうだけでシャットアウトしちゃうと「ここで止まっちゃうな」っていう純粋な危機感もあるし。だから、40歳になっても新しいことをやらないといけないなって。そんなとき、4106xxx(BRAZILIANSIZE/SCAFULLKING)が「ちょっと弾き語りをやってみない?」っていう話をくれて、ホントに慣れてないんだけど、しのっぴ(渡邊忍:ASPARAGUS)にギターを借りて飛び込んでみたんだよね。まあ、そのギターはいまだに借りてるんだけど(笑)。
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WUJA BIN BIN
2008年のMONG HANG解散後、ケイタイモが抱き続けた妄想の中から生まれた楽曲を2010年に具現化したことによりスタートした、総勢13人を要するプログレッシブ吹奏楽バンド。多種多様なシーンより集結したメンバーが織り成すサウンドは高いスキルと他に類を見ない独創性を誇り、多くの音楽ファンを魅了している。



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